11日

無年金訴訟、在日韓国・朝鮮人らの敗訴確定

2014.2.11
外国籍を理由に老齢年金を受給できなかったのは、法の下の平等を定めた憲法に反するとして、福岡県内に住む在日韓国・朝鮮人と遺族ら計9人がそれぞれ1500万円の損害賠償を国に求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は6日の決定で原告の上告を棄却した。
原告敗訴の1、2審判決が確定した。
原告側は、日本人に限って年金を支給する「国籍条項」が1982年に撤廃された際、国は、在日外国人が年金を満額受け取れるような救済措置を講じるべきだったと主張。これに対し、福岡地裁と福岡高裁は「救済措置をとるかどうかは国の広い裁量に委ねられており、不当な差別とは言えない」として、原告の請求を棄却した。 ※2014/2/10 読売新聞
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<歴史的背景>
 昔、ベトナム戦争の戦乱があったとき、数年来、ベトナム、ラオス、カンボジアからの難民の上陸が日本に続いていました。
しかし日本は、政治亡命を認めない方針をとっているところから、難民についても、日本への上陸は許可しても、一時的な滞在しか許していませんでした。
 このような日本の難民対策は、西欧諸国から批判されていました。
 政府は昭和52年来、定住を認めないまでも各種の援助を行い、また、昭和54年から閣議決定により、定住枠を定め対象をインドシナ難民に広げるなど積極的援助を行ってきました。さらに、昭和57年に「難民の地位に関する条約」に加入し、積極的に難民対策に乗り出すことになりました。

 

<国民年金の国籍要件を撤廃>
 国民年金については、難民条約では、社会保障に関して「自国民に与える待遇と同一の待遇を与える」と規定されており、難民条約に加入するためには、難民に対して国民年金法を適用しなければならないこととなりました。
 しかし、難民に限って国民年金法を適用することは、公平の観点から適当ではないので、他のすべての外国人に対しても、国民年金法を適用することとし、国民年金法に規定する国籍要件を撤廃して、内国民待遇を与える措置を講ずることとされました。

 

<経過措置(免除、期間短縮)は無し>
 これにより、国民年金制度がスタートした昭和36年4月1日~昭和56年12月31日までの、在日期間は、合算対象期間(=カラ期間)扱いとなり、難民条約が施行される昭和57年1月1日からは、強制加入となりました。
 なお、この改正は、難民条約に定める内国民待遇を実現するために必要な限度の措置を講じる観点から、国籍要件を撤廃したものであり、新たに適用対象となる外国人に対して老齢年金等の受給資格の短縮等の特例措置は、一切講じられませんでした。その代わり、受給資格期間を満たすことができないような方は、任意脱退が可能でした。

 

<最高裁の妥当性について>
これは、難民条約締結のため、急きょ昭和57年からは強制加入とするが、それまでは「カラ期間」にするというものです。年金額には反映しませんが、受給資格があるかどうかのカウントには含めます。
しかしながら訴えとしては、「カラ期間は納付済にせよ」あるいは年金にありがちな「期間短縮の特例を導入せよ」というものだと思います。
ただその期間(S36.4.1~S56.12.31)、日本人でも国民年金保険料を納めていなければ、年金額は大幅に減らされます。それどころか、カラ期間が使えずに受給権が発生していない方もいるでしょう。
やっぱり当時、制度上、国民年金保険料を納めることができなかったとしても、自動車保険や生命保険と同様、「保険」ですから、掛金を全く納めてないのに納付済にするのはちょっと具合が悪い。
また、日本人だと年金がもらえなさそうでも、任意脱退はできませんが、外国人には特例として任意脱退は認めていました。
そういった点でも、バランスをとっているかと思います。
まあ、だれでも年金額は多いほうがいいんですが、こればっかりは、
「救済措置をとるかどうかは国の広い裁量に委ねられており、不当な差別とは言えない」とした判断、、、まあ妥当なのではないでしょうか? みなさんはどのようにお考えになりますか?