サラリーマンなどが加入する厚生年金に加入する資格があるのに加入できず漏れている人が、350万~400万人に上ることが明らかになった。保険料の負担を嫌った雇用主が、加入手続きをしないのが原因。
この推計は、きのう(22日)の予算委員会で、田村憲久厚労相が明らかにした。加入漏れの人数は、国税庁が調べた民間の事業所に勤務する約5500万人から、すでに厚生年金に加入している約3500万人を引き、さらに適用とならない人を差し引いて推計した。
厚生年金の対象は、フルタイムの会社員や、一定時間以上働くパート従業員ら。法人の雇用主は原則、これらの人を厚生年金に加入させる義務がある。
保険料は、雇用主と従業員の折半だが、経営が苦しい中小企業は保険料の負担を嫌い、加入手続きをパスするケースが続出している。厚生年金に入れない人は、全額自己負担の国民年金に自前で入る必要があるが、無年金の人も少なくないとみられる。 日刊ゲンダイ2013/10/23 ※上図の健康保険料は愛知県の例。
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社会保険労務士の扱う労働社会保険分野は、日々発生する手続業務が多く、法律通りに運用されていないケースが数多くみられます(>_<)。 この厚生年金加入もその1つです。法律通り従業員を厚生年金に加入しないケースは、大きくわけて次の場合が考えられます。
①そもそも、会社が厚生年金の適用事業所である申請をやっていない。
②適用事業所ではあるが、経営が苦しく加入をパス(上記のとおり)。
③従業員から「加入をしないでくれ」と注文する。
①②③いずれのケースも、結局のところ、保険料を払うのが従業員、経営者とも、しんどいからです!(厚生年金と健康保険はセットで加入し、保険料を労使折半して納付します)。税金は儲かってその一部を払うものですが、社会保険料は、給与に対して、一定額納める必要があるので、会社が儲かってなくても支払う必要があります(しかも結構高い!)。 本来、法律通りに加入しなければなりません。が同時に、そもそもなぜこんなに多くの未加入者が発生するのか、その背景についてもよく考える必要があるかと思います。