17日

【労働】バス事故と「市場の失敗」

bus jiko
市場経済とは、市場を通じて財・サービスの取引が自由に行われる経済のことです。

考えとしては、人々が自由に競争し経済活動を営むことによって、目には見えないけれども、うまく経済活動やサービス向上が自動的になされていくので、国は、極力介入しないほうが良いということです。

社会主義国家より資本主義国家が経済的に豊かになったのは、市場経済でうまくいったためです。

これに対して「市場の失敗」とは

 需要と供給の均衡により最適な配分を実現し、安定した経済を形成すると考えられている市場メカニズムは、多くの経済学者から支持を得ている方法である。

ただし、人々や企業が利潤を最大化しようと利己主義的に行動(見えざる手)にしたことで、社会的に望ましくない、最適ではない結果がもたらされるケースもあること。

例えば、独占や寡占、失業や公害、貧富や地域格差などの「市場の失敗」と呼ばれるものが生じる。(wikipedia)

つまり、民間が自由に活動するだけでは、うまくいかない場面も発生することを、「市場の失敗」と呼んでいます。

 

<運送業界における「市場の失敗」>
上記のように、運送業界においても基本的には、経済活動を自由にさせておく必要があります。

しかしながら、運送業界(バス、タクシー、運輸)の特徴として

①サービス向上・改善の余地がほとんど無い

②参入障壁が低い

となると、「価格勝負」だけになりがちです。

運送業界の価格勝負とは、結局のところ「人件費削減の極大化」くらいしか方法は無く、働く人の健康や交通事故といった重大災害をもたらします。

従来、市場の失敗といえば、上記枠内のことを学びました。

一時期、運送業界の規制緩和が流行りましたが、もうこれは「市場の失敗」の学習単元として新たに加えてもよいように思います。

単元とは
一定の教育目的のためにひとまとめにされた学習計画。教材や学習活動を主題ごとに関連をもたせて組織したもの。カリキュラムの構成単位。学習単元。(大辞泉)

【図解】ブラック企業VSモンスター社員のスペクトル

2016.1.17

 

私が法学部の学生の頃は、まだ労働法は、人気の無い非常にマイナーな分野でした。

(憲法・民法・刑法・商法などメジャーな勉強ばかりでした)

労働法(労働基準法、労働契約法など)とは、基本的には、「弱い労働者」VS「強い使用者」が実質的に対等であるようにするために、作られています。

仮に使用者側が強すぎると、今風の言い方だと「ブラック企業」ということになります。

歴史をたどれば、基本的には、使用者側が強い立場です。

ただ、必ずしも使用者側ばかりが「デビル(Devil 悪魔)」とは限りません。

昨今の人手不足や、労働法の整備、そしてネット等による情報収集によって、労働者側が強い立場になる場面も出てきます。

そうなってくると、今度は、身勝手な行動や言動をふるまう、今風の言い方では「モンスター社員」という場面も表れてきます。

職場における人間の心理とは、このように流動的なものです。

従業員が多くなればなるほど、揺れ動く人間の心理を、うまくコントロール(労務管理)していくことが必要になってきます。