11月

年金と生活保護はどちらが得か?

このブログ・動画では、暮らしに必要な「社会保障の仕組み」についてお伝えしております。

今回は、「年金と生活保護はどちらが得か?」についてお話しして参りたいと思います。

 

 

 

 

こんな声が聞こえてきます・・・

 

年金を納めても、将来どのくらいもらえるか不安。

一生懸命年金を納めても、生活保護があるんだから、いいこと無いじゃん。。。

 

 

 

むしろ生活保護の方が、年金より金額多いって聞くし。。。

今のお年寄りに比べ、私たちは年金に関して損しているよね~。

 

 

さて本当のところは、どうなのでしょうか?

こんな考えを抱く人達はおかしい、と一蹴するべき案件なのでしょうか?

国民年金保険料の納付は国民の義務ではありますが、若者たちが抱くこの問いに、答えてまいります。

【お話の流れ】

①年金と生活保護の比較(金額)
②年金と生活保護の比較(その他)
③結論:どちらが得か?

 

 

 

 

 

①年金と生活保護の比較(金額)

 

自分の年金と生活保護と どちらが得なの?

これはもちろん、これまで納めた保険料や、住んでいる地域によってバラバラです。

ただ、バラバラだからといって、制度の説明だけでは実感が湧きません。

ですので、結構サラリーマンとして頑張った男性の例を想定してみましょう。

※あくまで一例です。

生活保護は年金との差額支給
老後に生活保護をまるまる頂ける場合は、実際は少ないです。
といいますのも、現在は10年掛けると老齢年金が受給できます。
生活保護の間は、法定免除でその間は1/2支給となりますし、過去に働いたことが有れば年金額が支給されるからです。
年金が生活保護金額に満たない場合、その差額が支給されます。

 

 

20歳から60歳まで自営業(国民年金のみ)でフルに納めても、月額65,000円ですか・・・。
生活保護だと全く納付していなくて115,000円(名古屋市)なんて、やっぱりおかしいんじゃないですか?

 

しかも、自営業で頑張って資産があったりすると、年金は65,000円でも、差額の生活保護はもらえませんからね。
「65歳以降は生活保護を受給する気満々」と、初めから考えている人にとっては、納めた国民年金や厚生年金が、もったいなく感じる気も分からなくはないですね。

 

 

 

②年金と生活保護の比較(その他)
その他金額以外にも、さまざまな違いがあります。

 

こうしてみると、生きていくうえでは問題ないが、多少窮屈な生活になるかも。。。

 

 

本当は生活保護を受給できるけど、やはり役所の敷居は高いので、なかなか申請の第一歩を踏み出せない方も、いらっしゃいます。
また受給できたとしても、その後の調査など、窮屈さはあるかと思います。

 

 

 

 

③結論:どちらが得か?
いかがだったでしょうか?
なんとなく、年金と生活保護の「光と影」が見えてきたのではないでしょうか?
これまで挙げてきましたように、かなり長い間にわたり、年金保険料を納付したにもかかわらず、生活保護とそれほど変わりない受給額ということで、「なんだかなあ」という気がするのもうなずけます。

 

最初から将来、「生活保護で老後生活する!」と決めたのなら、金額面では生活保護の方が得します。

 

ここで10数年、年金業務に携わって、生活保護受給の方ともお話ししてきた私の感想を、お伝えしてみたいと思います。
生活保護の老後は、決してみじめな生活ではないです。

・もし自分が受給する立場なら、お金無いなりに身綺麗だけはして、図書館で本を借りたりDVDを借りたり、公共の安い美術館・博物館・植物園・クラシックサロンコンサートなど、クルクル出かけて、楽しく人生過ごすと思います。



最終的に自己責任とはいえ、今後これまで以上に「老後格差」が起こってくることは否定できません。
ですので、頑張れるだけ頑張って、それでも老後に生活保護になった場合には、受給額の範囲内で「無理やり」でも、いっぱい楽しむ工夫をすれば、全然OK。
それまでは65歳くらいまで極力「厚生年金」という、結構頼りになる保険加入で働ければ、そんなに悪い老後にならないと思います。
 
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癌の治療費や生活への公的支援とは?


 
このブログでは、動画や図を活用しながら、「社会保障」について色々お伝えしております。

さて今回は、「癌の治療費への公的支援」について、お話しして参りたいと思います。

 

 

 

 

癌になったときの様々な不安・・・

ご本人、あるいは身近な方が「癌」と診断されたとき、真っ先に襲ってくる不安は、「病気の進行具合」や「治療方法」についてでしょう。

これについては、お医者さんと、よりよい治療法を相談していくことになります。

そして、その後に襲ってくる不安・・・それが「経済面」についてです。

今の仕事を続けられるだろうか?
治療費には、いったいいくらかかるだろうか?

これらに対する回答は1通りではなく、人それぞれ、勤務会社それぞれです。

会社に勤務されている方が仕事を続けられるかどうかは、会社で「休職や復職」についてご相談されるとよいでしょう。

それでは、「治療費」や「生活費」については、どうでしょうか?

これについては、これから述べてまいります、「公的支援」を、ぜひ活用していきましょう!

 

 

 

①支払いを減らす方法

癌治療にかかった医療費に対して支出を減らす「公的支援」には、次のようなものがございます。

【高額療養費制度】

高額療養費制度とは、医療機関や薬局で支払った、一定以上の治療費(自己負担限度額)を超えた場合、いったん払った治療費が払い戻されるという仕組みです。

※自己負担限度額は、所得に応じて変化します。
※なお、あらかじめ医療費が高額になると分かっている時は、事前に「限度額適用認定証」を取り寄せておくと、払い戻し方式ではなく、最初から限度額までの負担で済みます。

 

【税の減額】

医療費の負担を減らすのではなく、税金を減らす方法として、「医療費控除」があります。
上記高額療養費を使っても、自己負担分はあります。それが
年間10万円(医療費はもちろん、通院のための交通費や薬局で買った薬も含む)を超えた場合は、税金を安くできます。

※レシートや領収書を保管しておきましょう。
※国税だけでなく、地方税や国民健康保険料にも影響するので、該当者はぜひ確定申告をしましょう!

 

 

 

 

 

②収入を増やす方法

上記①の支出を減らす”守り”を固めつつも、収入を増やす「公的支援」で、”攻め”も考えておきましょう。

【傷病手当金】

会社に勤務(=健康保険加入)している方が、癌になったときには、「傷病手当金」が支給されます。
支給は最大1年6ヶ月間です。
金額は、標準報酬月額の2/3です(だいたい総支給額の67%くらい支給されます)。
在職中は、会社と病院に証明を頂き手続きすることになります。

※条件により、退職しても、傷病手当金が引き続き支給されます。
※会社に勤務していない配偶者や、多くの場合の国民健康保険制度では支給されません。あくまで会社で働いていた方への給付です。

 

 

【障害年金】

障害年金というと、身体障害者を思い浮かべますが、日常生活に支障があれば、内部障害である「癌」「難病」「精神」による傷病にも支給されます。

※多くのケースでは、初診日から1年6ヶ月後から、障害年金の支給が始まります。
※傷病手当金を受給している方が、すべて障害年金を受給できるとは限りません。
※障害年金の受給は、やや難解なところがありますので、年金事務所や社会保険労務士にお尋ねされるとよいでしょう。
※上図の通り、1年6ヶ月の傷病手当金受給のあと、切れ目なく障害年金が支給されるという仕組みです。

 

 

ドリナビ
ドリナビ
現在加入している「私的保険」だけでなく、「公的な控除」「公的な給付」をフル活用して、安心した療養生活をお過ごしくださいね。
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歯の治療費と健康保険制度

このブログ・動画では、生きていく上で必要な「社会保障の仕組み」について、お伝えしております。

今回は、「歯の治療費と健康保険制度」について、お話しして参りたいと思います。

ちなみに、歯科業界からお金頂いておりませんからね(^^)。

 

 

 

通常の歯科治療は健康保険がカバー

日本国民は、みなどこかの健康保険に必ず加入する「国民皆保険制度」を取っています。

会社員なら健康保険、自営業などは国民健康保険です。

日本では、保険適用内の歯科治療であれば(程度にもよりますが)1万円前後で済みますし、定期的なケアであれば2,000円位で済みます。

※私は定期的に歯医者に通っておりまして、今日行って参りましたが、1,310円で済みました(2019/11/1)。

歯医者さんに聞いたら、「痛くなったら治療して、治療の途中でも痛くなくなったら来なくなり、また痛くなったら来る方、かなり多い」とのことでした。

 

 

 

 

一方例えば、アメリカでは皆保険制度ではないため、一旦病気になると経済面でかなり苦労することになります。

アメリカでは毎年53万世帯くらいが破産していますが、破産原因の約6割が医療費によるものだそうです(「American Journal of Public Health より」)。

民間の高い保険に加入していれば、イザというときもカバーできるのでしょうが、そんな方は少数。。。

無保険で虫歯治療をしようものなら、すぐ10万円、20万円とかかります。

 

普段、日本の社会保険制度を実感することは無いでしょうが、海外目線で見ると大変魅力的に感じます(そのため外国人が日本の健康保険証を使用して治療する”事件”もあるわけですが・・・)

 

 

 

歯のケアに気を遣う海外の人

 

そんなわけで、高い費用が掛かるので、アメリカ人は普段の歯のケア(デンタルケア、オーラルケア)に気を使います。

また文化的背景(ハグする、育ちを見られる)というのもあります。

実際、就職にもかなり影響するそうです。

歯のケアが生存競争に直結するのです。

 

でもそれって、アメリカ人だけじゃないの?

 

 

 

 

いえいえ、そんなことはなく、日本人の歯並びの悪さや口臭のひどさは、外国人からも指摘されています(日本の政治家は口が臭くて話が入ってこないらしい・・・)。

海外のスポーツ選手や政治家がテレビに映ったとき、

「歯並びがいいな~」

と感じたことありませんか?

私の子供の頃と比べ、やっぱり今の芸能人や若い方は歯並びがいいし、虫歯も少ない!

海外ほどではないにしろ、日本も時代とともに少しずつ、歯のケアが重要視されてきています。

 

 

 

 

歯科矯正でなくていもいいが・・・

 

虫歯や歯周病にになりにくくするためには、歯科矯正するほうがいいです。

歯科矯正は自由診療のため、最終的に治療が完了するまで100万~150万位かかります。

ちなみに子供の頃に歯科矯正するイメージがありますが、30代くらいの大人でも大丈夫です。

※私も30歳過ぎて、歯科矯正しました

でも。。。

 

「そんなお金無いわい!」

 

という方も、いらっしゃることでしょう。

 

 

そんな場合は、せめて一定期間ごと、歯の掃除をしてもらうと良いです。

気持ちもスッキリします(^^)。

最近では、歯周病菌が体の他の部分にも悪影響を及ぼしていることが報告されておりますので、生命にも直結してきます。

 

 

せっかくある社会保障制度です。

生命保険料を沢山掛けたり、化粧品や美容院に行くお金があれば、その一部を、健康保険を使って定期的な歯科治療をオススメいたします。

「口臭白書2019」より抜粋

 

ドリナビ
ドリナビ
「痛い・怖い」のイメージがある歯医者。
でも、定期的に通えば痛くないですし、むしろ人生の中で様々な病気リスクを抑え、経済的に得することにもなります。
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