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今回は、繰下げ請求のメリットとデメリット(落とし穴)について、お話しして参りたいと思います。
時折、「年金の繰下げ」について、報じられていることがありますが、お話しをされている方も誤解されている節も見受けられます。
まあ年金は、本当にややこしい制度ですので、無理はありません。
年金は本来、65歳から受給開始されます(今は厚生年金部分だけ、経過的に65歳前からも支給してます)。
その65歳から受け取る年金を、67歳と5ヶ月とか、70歳ちょうどから、などと受給する制度を指します。
ちなみに、実際に繰下げ請求するには、まず65歳ハガキが届く時点で、アンケートっぽい欄に、希望の○や、そもそも返送しないという作業を行います。
(何も○を打たず返送すると、通常の65歳からの受給です)
そしていよいよ請求をしたいというときに、年金事務所に出かけて、請求手続きを行います。
メリットは、年金が増えるという点でしょう。
1ヶ月あたり0.7%、70歳まで繰下げたとしますと142%増えます。
今の低金利を考えますと、「むちゃくちゃいい利息♪」と思われる方も多いのではないでしょうか?
政治家やコメンテーターの方のお話を聴くと、バラ色っぽいイメージを抱きますが、繰下げ請求は・・・
<落とし穴その1(その間の年金は停止)>
例えば、70歳から受給しようとすると65歳からの5年間は支給停止されます。
停止というとぼんやりするので、私なんかは分かりやすく・・・
捨てるんですよ!
とお伝えしております。
なので、損益分岐点は約11年11ヶ月後に訪れます。
たとえば66歳から請求ですと、77歳と11ヶ月
70歳から請求ですと81歳と11ヶ月です。
約半分くらいの方が、金融商品の利息と誤解されている点です。
<落とし穴その2(加給年金・振替加算も停止)>
繰下げ請求をしますと、夫婦間に付くはずであった「加給年金・振替加算」も、引っ張られて支給停止されます。
加給年金はいわゆる扶養手当みたいなものですが、約39万円とかなりの額。
受給できる方が、厚生年金部分の繰下げをしますと、実際の損益分岐点は、11年11ヶ月どころか、20年くらい先になるケースもあったりします。
夫婦間で「加給年金・振替加算」が付く予定がある方は、繰下げ請求はよく考える必要があります。
<落とし穴その3(妻が遺族年金を受給するとき)>
これまた夫婦の場合です。厚生年金を繰下げ請求して、仮に損益分岐点が到来する前に、夫が亡くなった場合、遺族年金との関係で、繰下げ請求したメリットが無くなる場合があります。
ケースバイケースですが、もし「繰下げ待期中」に夫が亡くなった場合は、「やっぱりや~めた」ということで、本来請求の65歳からの受給に切替えましょう。
<落とし穴その4(在職老齢年金で停止のある方)>
65歳を過ぎてもなお「厚生年金加入中」かつ「高額給与」ですと、人によっては厚生年金部分の停止が行われます。
ここで「悪知恵」を働かせて、「どうせ停止されるんだったら、繰下げて増やした方がマシ」なんて考えられる方もいらっしゃいますが、意味ないです。
といいますのも、停止されなかった部分のみ繰下げ請求による加算が行われ、停止されている部分には、繰下げ請求による加算がおこなわれません。
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繰下げ請求の実際のイメージとは、違ったのではないでしょうか?[/word_balloon]
将来は、繰下げ請求も75歳まで可能となったり、在職老齢年金制度にも変化があるんでしょうが、令和元年時点では、このような制度となっております。
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