【年金】年金調査員の視点による 韓国 徴用工裁判の不可思議

【年金】年金調査員の視点による 韓国 徴用工裁判の不可思議

nenkintetyo
韓国で、太平洋戦争中に徴用工として日本の工場などで働かされたとする元労働者や家族10人が新日鉄住金に対し、損害賠償を求めた裁判で、ソウルの地方裁判所は、「個人の請求権は消滅していない」として7400万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。
この裁判は、太平洋戦争中に福岡県や岩手県にあった新日鉄住金の前身の製鉄所に徴用されたとする韓国人の元労働者やその家族合わせて10人が、過酷な労働を強いられたとして会社側に損害賠償を求めたものです。
ソウル中央地方裁判所は13日、「個人の請求権は消滅していない」として、原告側の主張を大筋で認め、新日鉄住金に対し、合わせて7億ウォン(およそ7400万円)の賠償を命じる判決を言い渡しました。
新日鉄住金は「徴用工の問題は1965年の日韓請求権協定で完全に解決しているというのが当社の主張であり、控訴して、引き続き主張の正当性を明らかにしていきたい」とコメントしています。
日本政府は、元徴用工といった個人を含め請求権に関わる問題は50年前の日韓国交正常化に伴って結んだ協定で、すでに解決済みだという立場です。しかし、韓国では3年前、最高裁判所が「個人の請求権は消滅していない」とする初めての判断を示して以降、元労働者らが日本企業を相手取って裁判を起こすケースが相次いでいて、現在、最高裁判所で3件の裁判が行われているほか、各地の地裁や高裁でも裁判が進められています。
この問題を巡っては、11日ソウルで開かれた日韓の外務省の局長協議でも取り上げられるなど、懸案の一つとなっています。 ※2015/11/13 NHKニュース
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<年金記録調査は歴史に詳しくなる>

時代の流れとともに、戦前戦後に起きたことは、風化しつつあります。

お爺さん、お婆さんから、時折当時のお話を聴く以外、戦前のことを触れる機会は ほとんど無いと思います。

ところが・・・

年金記録問題が発生したとき、私は愛知県で調査員として調査することとなりました。

すると、厚生年金保険(創設時は労働者年金保険)は昭和17年6月からスタートしているものですから、当時の状況について色々知らないと調査ができず、図書館などで戦前戦後のことを調べることとなりました。
すなわち年金調査は、約80年前から現在までの経済情勢や歴史を勉強をすることとなります。

 

 

<韓国 徴用工裁判の4つの不可思議な点>

年金調査員の視点から、徴用工裁判の不可思議な点を挙げてみたいと思います。

 ①「強制徴用者に損害賠償すべき」とソウル地裁は判決し、奴隷扱いで過酷な扱いを受けた印象を与えています。しかし当時は日本人でしたから、他の日本人と同様に法で徴用後、労働者年金(厚生年金)及び健康保険といった社会保険制度に加入し、紙台帳で記録されています。

②細かいことですが、徴用(ちょうよう)とは、戦争中などに、政府が国民や占領地住民を強制的に動員して、 兵役を含まない一般業務につかせることです。つまり、徴用という言葉に強制の意味を含んでいるため、「強制徴用」は言葉としては変です。無理やり連れてこられた感を出すための造語です。

③上記記事にあるように、国同士の条約(日韓基本条約)を素直に読めば、各種請求権に関する問題は、政府、個人、企業のあらゆる段階で完全かつ最終的に解決され、締結後は新しい時代を構築していく未来志向の条約であると読み取れます。後出しじゃんけんを含んだ条約を結んだとは読めません。

④物事には基本的に「時効」というものがあります。すでに今年は戦後70年(日韓基本条約からは50年)経過しています。個人の請求権として生きている限り、いつでも請求できるような状態は、いつまでたっても枕を高くして寝ることができません。法律に求められる「法的安定性」が無い状態です。また仮にこの状態で1つでも補償することは、時効が無い状態を認めたわけですから、今後遡及して、何でも請求することが可能になります。

年金制度上は、当時日本国で働いていた期間は、(日本人だったわけですので)同じ労働条件で同じ社会保障制度の下で、皆一緒になって働いていたわけです。特別に過酷な労働を強いていたわけではないのです。

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