雇調金活用を妨げているものとは?

雇調金活用を妨げているものとは?

雇用を維持するために、解雇にせず休業扱いさせている企業に対し、国が支援するのが「雇用調整助成金」です。

 

支給率も中小企業では、従来の2/3支給から9/10支給(さらに10/10へ)に変更になり、ぜひ助成金を活用して雇用維持を図っていただきたいところです

 

ところが、この助成金利用がなかなか進んでいないため、厚生労働省は手続簡素化を打ち出しました。

恐ろしく大変だった「日ごとの休業実績の記載」は、合計日数で可能となりました。

また、休業協定書作成の前段階手続として「労働者個人ごとの委任状」が必要でしたが、それも不要になり、その他の添付書類も不要あるいは、別の書類でも代用可能となりました。

でも、あくまで「手続簡素化」であり、受給にあたって「厚労省側が調査したいと考えている事項が削減・簡素化しているわけではない」点に気を付ける必要があります。

つまり本当は、今でも昔ながらの添付書類を持参していただきたいので、「要請」という形でのお願いや協力は求められます。

【現場では・・・】
例えば上記チラシでも <添付書類の削減>と銘打って3点挙げられておりますが・・・

①「履歴事項全部証明書」廃止としていますが、代わりにもっと面倒な労働者名簿等を求められたりしますので、むしろ法務局でサクッと取得した方が楽です。

②「委任状」廃止としていますが、本当に委任したか跡を残すためにも、「委任状取得したほうがいい」と協力を求められたりします。

③「確定保険料申告書」廃止としていますが、現場の厚労省職員さんはその後の調査が大変のため、添付の協力を求められます。
「言っていることと全然違うじゃないか」と、憤る方もいらっしゃるかもしれませんが、厚労省側が知りたい(調査したい)ことは何ひとつ変わっているわけではないので、簡素化とは「忙しいので一旦これでも受け付けすることは可能」、というくらいに捉えておいたほうがよろしいでしょう。

 

 

 

 

職人気質な日本人の功罪

日本人の細やかな気遣い・気配りは、世界から感動され、また様々な商品開発にも生かされております。

 

日本製は高品質ですし、包装1つとってみても、海外製は開けにくかったりしますが、日本製はスムーズです。

 

日本のお菓子は、見た目もかわいく、きれいですよね。

 

日本人の作った「雪だるま・雪まつり」は、海外の人から見ると「スゴイ」と言われます。

 

そもそも、東京オリンピックの有名なフレーズは
「お・も・て・な・し」 です。

 

 

しかしながら日本人特有のこうした側面は、公共サービスにおいては、非常に厄介な形で現れます。

 

一人ひとり、個人の事情に合わせて丁寧に公共サービスを行おうとしたら、迅速さは失われますし、コストも非常にかかります。

(マイナンバーを活用して、高度な公共サービスも可能ですが、世間の合意は得られておらず、現状そこまでは至っていません。)

 

一昔前、「年金記録問題」が発生しました
(※実は今も収束していませんが・・・)。あのとき、立ち上げ当初から、私は社労士として総務省で関わっておりました。当初は、「納付したと推認できる状態なら年金記録として認定する」とした、ふわっとしたものでした。

日本の公務員さんは良い意味で「まじめ」ですので、ふわっとした形でなく、どんどん納付したと推認できる事例を積み重ね、膨大な資料が出来上がりました。

確かに真実を突き詰めていくことは大事かもしれませんが、そもそも複雑すぎる年金制度が、エラーや間違いを起こす原因であったと思いますし、現在も同じような危険を抱えております。
(その証拠に年金機構のホーム―ページには、毎月「事務処理誤り」が発表されております。職員が怠けているというのではなく、本当に年金制度は難しすぎるのです。)

 

 

 

 

 

 

雇調金活用を妨げているものとは?

社労士として色々給付金業務に携わっている経験から、雇用調整助成金の活用が進まないのは、次の3つの要因があろうかと思います。

①そもそも、どんな新型コロナ対策給付金があるか、分かりずらい。
(⇒公式の10分動画サイトなどを作成したらいい)
★私もお客様にこんなチラシを作成したりしております。

 

 

②書類作成が難しい
(⇒システムエンジニアに頼んで、クリックするだけで書類作成できるサイトを作成をしたらいい)
(⇒そもそも書類作成できるサイトが作れないような制度は、簡便ではない

 

 

③厚労省としては言いにくいことではあるが、日本企業の現状を踏まえた対応策も公表する。

労働条件通知書や、タイムカード、就業規則などが未整備、社会保険未加入な会社は多いです。
今はそういった日本の現状に即した対処法も公表すべきだと思います。
新型コロナ騒動を、日本の職場環境変化の「大チャンス」と捉え、中小零細も含め、全ての企業が活用しそうな雇用調整助成金を通して、複雑な労務管理とハンコ文化な日本企業の近代化を進めてほしいですね。

実際問題、普段から労働関係書類を完ぺきに整えている会社は、雇用調整助成金の申請は、比較的楽なはずです。

ドリナビ
ドリナビ
助成金受給には、普段から完ぺきに近い、労働社会保険手続の整備が必要です。

そんなの「当たり前でしょ」と思われるかもしれませんが制度が複雑なため、創業者・経営者には過剰な整備コストが求められております。

 

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