事業主が従業員の給料から天引きした厚生年金保険料を納めなかった場合に国が肩代わりする制度を会計検査院が調べたところ、制度ができて6年以上たつのに、国が未納の事業者に法律上の保険料請求を一度もしていないことがわかった。厚生労働省が請求権の具体的な行使方法を定めていなかったことが原因で、一部は時効の可能性もあるという。
保険料の納付記録がない「消えた年金」問題などをめぐる国会の要請を受けて調べていた。検査院は30日、国会に「厚労省は内閣法制局などと法律の解釈を協議し、請求権を行使できていない状況を改善すべきだ」と報告した。
厚生年金の特例法は、従業員の給料から天引きした保険料を事業主が自分のものにして納めなかったときなどに、従業員の年金を救済するため、2007年に施行された。国が未納分を肩代わりしたうえで、従業員に代わって民事上の請求権を取得。事業者が納付しなければ、確実に請求権を立証できるケースについては民事訴訟を起こせる。未納分は13年度末時点で約30億円あり、うち22億円近く(約4200件)を国が肩代わりしている。※2014/10/30 朝日デジタル
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【厚生年金保険特例法の功罪】
厚生年金の特例法とは、誤って厚生年金保険料を控除されたことが確認されれば、いったんは正しかった年金記録を後から書き換えるというものです。
なので、書き換え後の年金記録は、変な風になってしまう場合が多々あります。
例えば、20万円の給料しかもらっていなかったが、うっかり40万円の給料分(=会社負担分まで控除)の保険料を引いたとき、その方は、特例法により、標準報酬月額40万円の年金記録になります。
また、認められた部分があったり無かったりして、標準報酬月額の記録がガタガタになる場合もあります。
さらに、認めた後にも問題があって、上記記事のように、会社にその分を請求しようにも・・・
①会社がもう無い
②保険料の請求を、何年も後からすることになるので、請求もしづらいし、拒まれやすい。
結局、きちんと控除していた会社は損(=回りまわって税金に充てられる)し、多く控除して懐に入ってしまった会社が得するという、なんとも理不尽なことになっています。
そもそも、会社の保険料控除ミスは、毎月どこかで起こっているので、「特例」がいつまで続くのかなと思ってしまいます。特例法によって、救済されて良い面もありますが、負の面も実はあります。
年金制度は、いじくりすぎて、わけわからん状態です。。。