今さら聞けない給与明細書の見方

今さら聞けない給与明細書の見方

このブログ・動画では、暮らしや経営に役立つ「社会保障の仕組み」について、お伝えしております

今回は、「今さら聞けない給与明細書の見方」について、お話しして参りたいと思います。

 

 

 

今さら聞けない給与明細書の見方

皆さん、お給料明細書の見方、お分かりになりますか?
振込額だけ見て、「ポイッとゴミ箱行き」になっていませんか(^^)?

かくいう私も、若い頃は、振込額だけしか見ていませんでしたね。

だって給与明細書の見方、学校で習わなかったんですもの。。。
というか、社会人になっても、なかなか教えてもらえない気がします。

日本の社会保障制度って、本当に難しいですよね。

 

というわけで、今回は給与明細書の「」について迫ってみたいと思います。

【例:山田太郎 28歳 愛知県の中小企業の総務として勤務】
★月給20万円(末締めの翌月15日払い)
(※いつもは残業代が2万円ほどだが、2020年2月は残業が少し多かった)
★扶養控除等(異動)申告書は提出済み。独身。

 

 

 

【給与明細書】

 

 

 

 

 

 

①支給額を知る!

【月給】
山田太郎さんは、時給でなく月給20万という形で給与が支払われております。

これは労働条件通知書や就業規則などで、本人の給与は通知されているハズ。。。

 

【時間外手当】

30時間の時間外手当(=残業手当)として43,350円支払われております。

さてこの金額はどうやって導き出されたのでしょうか?

会社によって、①月平均所定労働時間 ②割増賃金率 が違いますので、それによって、計算式が変わってきます。

山田太郎さんの会社では、

①月平均所定労働時間:173時間

②割増賃金率:25%増し

と仮定して計算しますと、

200,000円÷173時間=1,156円/1時間あたり(50銭未満切り捨て)

1,156円×30時間×1.25=43,350円

 

【自分の残業代がどう導き出されたか知りたいときは?】

時給(例えば1,000円)の方は、残業代の単価がはっきりしているので、残業時間が分かれば、残業代が正しいかはっきりします。

ところが、月給制の方は、時給いくらで計算しているのかが、パッとは分かりません。

でも、その月の残業時間が分かれば、逆算することで計算が可能です

今回のケースでいえば・・・

43,350円÷30時間÷1.25=1,156円(1時間あたりの単価)

200,000円÷1,156円≒173時間(月平均所定労働時間)

ああ、うちの会社は月平均所定労働時間173時間で、時給1,156円の労働者なんだ(^^)」って分かります。

ちなみに月平均所定労働時間173時間とは、年間休日105日相当です。

月平均所定労働時間164時間ですと、いわゆるホワイト企業の年間休日120日ですね。

(365日-120日)×8時間労働÷12ヶ月≒164時間

 

 

【通勤手当】
通勤手当が6,000円支給されていますが、下図の所得税法の基準により、この6,000円は非課税ですね。

 

以上により総支給額は249,350円ではありますが、うち課税される金額としては交通費を除いた243,350円です。

 

 

 

 

②控除額を知る!

続きまして、今度は控除額を見ていきましょう。

これは大きく「社会保険料」「税金」「その他(親睦会費や財形貯蓄など)」の3種類があります。

 

まず社会保険料(健康保険・厚生年金)の控除額を見ていきましょう。

健康保険と厚生年金は、直接保険料率を掛けるのではなく、下記のような「等級表」に当てはめた額を控除するというルールとなっております。

注意点①
①「都道府県ごと」や、「協会けんぽか組合健保」によって、等級表の金額が変わってきますので、自社に合う等級表を確認しましょう。
注意点②
山田太郎さんは、総支給額249,350円の場合、通常24万の等級ですが、山田さんは22万の等級で控除されています。
これは誤って控除している場合もありますが、4月~6月の給与が低くて、9月に決まった等級が22万であったため、ということも考えられます。
(※毎年1回、社会保険の等級を決めるルールによるものです)
年金事務所には、標準報酬月額22万円で登録されているハズですが、それを確認する方法は、年1回誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」です。

注意点③
山田太郎さんは、まだ40歳前ですので、介護保険料は控除されません。

 

 

続いて社会保険料(雇用保険)について、見ていきましょう。
これは上記のような等級表を使用するのではなく、ダイレクトに「保険料率」を掛けます
249,350円×3/1000=748円(50銭未満切り捨て)。

 

 

 

 

今度は税金について見ていきましょう。
サラリーマン(=給与所得者)は「源泉徴収税額表」に従って税金を控除するというルールになっております。
課税されるべき金額は、総支給額から交通費を除いた243,350円。さらに社会保険料合計31,768円も引きますと、残りは211,582円です。
独身で扶養者はおりません(0人)ので、211,000~213,000の間の甲欄5,200円となります。
【甲欄とは?】
例えば従業員が、平成31年(令和元年)の年末調整時などに、翌令和2年の扶養控除等(異動)申告書を、会社へ提出することにより、令和2年中は乙欄でなく税金の安い甲欄で、源泉徴収してもらえることとなります。ちなみに山田太郎さんは、扶養者0人ですが、0人という扶養控除の申告が必要です。

【住民税は?】
住民税は、同じ給与でも、住む場所等により人それぞれ違います。
従業員の住所地の市区町村から毎年5月頃、会社に対して控除額のお知らせが届きますので、それに従って、会社は本人から住民税を控除します。
今回は、例として7,000円としました。

 

 

 

③振込額を知る
さあ、これまで計算した金額から、振込額を計算します。
総支給額249,350円-(社会保険料31,768+所得税5,200+住民税7,000+親睦会費1,000)=204,382円
【まとめ】
最後に給与計算のポイントをまとめますと、下図のようになりますね(^^)。
ドリナビ
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いかがでしたでしょうか?
ややこしいルールですよね。
少しでも「分かった」と感じていただけたら幸いです!
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