中国人技能実習生に賃金を適切に支払わず、労基署の調査も妨害したとして、岐阜労働基準監督署は22日、最低賃金法と労働基準法違反容疑で、縫製会社社長と、技能実習生受け入れ事務コンサルタントを逮捕した。
同署によると、労基署が容疑者を逮捕するのは異例。
逮捕容疑は、2014年12月~15年8月、中国人技能実習生の女性4人に最低賃金計約165万円と時間外手当計約310万円を支払わなかった上、虚偽の賃金台帳を提出するなど労基署の調査を妨害した疑い。
※2016/3/22 時事通信
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<岐阜は今、超人手不足>
直近、平成28年1月の有効求人倍率は、東京(1.88倍)に次いで、岐阜は2位(1.70倍)です。
※ちなみに愛知は4位(1.63倍)。
ぜんぜん足りないので、外国人をドンドン受け入れているところですが、そこでこの問題が発生しています。
<労働基準監督官が労働基準法違反者を逮捕できるの?>
労働基準法第102条に「労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う」とあり、この条文が根拠となって逮捕できます。
「市役所」「保健所」「公共職業安定所」などの行政機関とは違って、「労働基準監督署」「警察署」「税務署」「消防署」といった「署」の付くところには、必ず司法警察官が在籍しています。
でもドラマみたいに、実際逮捕までいくケースは、労働基準監督署の場合は稀でした。
<なぜ逮捕まで至ったの?>
①最低賃金違反
②虚偽の賃金台帳を提出
労基署って、入られると怖いですが、それなりに対応すれば、鬼じゃなく結構人情味あるところもあります。
でも、①だけならまだしも、②で完全に「なめてる」と判断され、逮捕されたということです。
そうはいっても、過去このようなケースで逮捕されなかった場合もあると思いますので、異例です。
逮捕まで至った真の理由は何なのでしょうか?
それは、2015年アメリカ国務省の人身売買報告書で、実習制度の中で労働者が強制労働の状態を経験しているとし、借金による束縛、パスポートの押収、拘束といった実質的証拠があるにもかかわらず、日本政府は強制労働の被害者を把握していないと指摘されました。
さらに、世界中の出来事を取材しインターネットを通じ報道するルポ・メディア「VICE」が特集した、「世界最悪のインターンシップ:日本の外国人研修制度」という動画で、日本の外国人研修制度が海外で話題を集めてしまいました。
まさに黒船来航時を風刺した、「太平の眠りを覚ます上喜撰たった4杯で夜も眠れず」となってしまったことが、逮捕まで至った真の背景なのです。
※「上喜撰という上等なお茶」と「蒸気船=黒船」をかけて、「太平の眠り(鎖国)」から目を覚ます開国を、かけています。