【年金】 過去の分を追納すべきか否かの判断は?

【年金】 過去の分を追納すべきか否かの判断は?


免除期間を遡って納付すべきか否か?(写真はイメージです)2019/6/21

 

 

 

給付金情報を提供しております「ドリナビ」です。

今日、知り合いの方から、こんな相談が届きました。

太郎
太郎
免除期間分を遡って払うか、つみたてNISAで運用するか検討しています。

 

 

 

そこで今回は、”年金を追納すべきか否か” について、ご紹介したいと思います。

【追納(ついのう)】
過去に経済的理由で、国民年金保険料を納付するのが難しくて、免除してもらった期間を、後になって納付することです。
ちなみに、日本年金機構のパンフレットはこちらです。

 

 

 

何をもって、「追納するかしないか」を判断する?

さて、年金機構のパンフレットには青字で、「追納をおすすめします!」となっています。

オススメをするのは次の理由からでしょう。

ただし、本日ご相談があったように、一般の方にとっては、赤字の部分にこそ、すご~く関心があるところではないでしょうか?

では、上記赤字部分の損益分岐点について、もう少し突っ込んでみましょう。

 

 

 

ここに気を付ける(その1)!

まず初めに、「未納」と「免除」の違いについ触れておく必要があります。

それは、実際の保険料納付が0円であっても、全く意味合いが変わるからです。

【未納】
それは、未納(保険料を納めていない期間)がありますと、年金額が減るだけでなく、障害年金の納付要件を満たせずに障害基礎年金・障害厚生年金が受け取れない恐れもあります。

私も以前、障害者ではあるが納付要件が満たせなかった方にお会いしたことがあります。

これはキツイです。

 

また、最近は10年の保険料納付で老齢年金受給ができますが、遺族年金を受給するには今でも25年が必要です。

つまり、「未納期間」を納めることは、年金額が増えるだけでなく、こういう受給権に関するメリットもありますので、「納付をおすすめします」となります。

【免除】
一方、保険料を全額免除で全く納めていなかった方は、こういったペナルティがありません。
保険料納付は実際は0円ですが、半分納付したことにされています(※全額免除)

単純に年金額が免除期間は半分(H21.3以前は1/3)にされているだけです。
花子
花子
そうすると年金が受けられるかどうかは考えず、単純に、お金の損益分岐点だけ、考えればいいんですね。

 

 

 

 

ここに気を付ける(その2)!

次に気を付ける点は、、、

全額免除期間を納付済期間にするためには、
残りの半分だけの保険料を納める」のではなく、
「全額の保険料を納める」必要があります!

 

 

 

 

 

損益分岐点はココになる!

ここから先は、少し計算が入りますので、難しい方は計算部分は読み飛ばしてくださいね。

【①1年納付するといくら増えるか?(令和元年度価格)】
780,100(満額)÷40(年)=19,502円(1年あたり)

【②1年納付するといくらかかるか?(令和元年度価格)】
16,410(月額)×12(月)=196,920円(1年あたり)

【③1年納付すると何年で元が取れるか?(令和元年度価格)】
196,920÷19,502=10.09742・・・・・

 

③のとおり、納付を放置していた期間(未納期間)に、1年間の保険料を納付(納付済期間)すると、10年ちょっとで、ようやく元が取れます。
国民年金は65歳から支給ですから、少なくとも、75~76歳以上は生きないと元が取れません。
問題は、保険料0円で、半分納付したことになっている免除期間(※全額免除のとき)であったのに、わざわざ満額16,410円追納して納付済期間にしたような場合は、
考えようによってではありますが、損益分岐点は上記の2倍・・・


20年ちょっと生きて、ようやく元が取れる

ということになるのかもしれません。

65歳から20年以上となりますと、85~86歳以上です。

※なお、社会保険料控除により納付した年の税金が安くなる点は、考慮していません。

 

 

 

免除期間はありがたく放置も?

人生100年時代ですし、人それぞれ考え方はあろうかと思いますが、わざわざ追納することなく、免除期間として認めていただいた期間を有りがたくそのままにするのも「アリ」だと思います。

そして追納するお金があれば、最初の方のように別に投資されるのもいいでしょうね。

 

結論

★未納期間・・・放置せず、免除期間にしてもらうか、出来ない場合は極力納付する。

★免除期間・・・ありがたく放置するのもあり。

ドリナビ
ドリナビ
年金も保険制度ですので、「損得」ではないのかもしれません。
しかしながら、一般の方々にとって知りたいことは、上記も含めた回答ですよね。

にほんブログ村 士業ブログ 社会保険労務士(社労士)へ

« »