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前回、『新聞奨学生の体験談やメリット&デメリット(その1)』では、主に、私の体験談をお話してきました。
今回は、新聞奨学生になることのメリット・デメリットについて、お話していきたいと思います。
若いときには気づきませんでしたが、四半世紀以上たち、心落ち着いて振り返ってみて、私が感じたことを述べていきたいと思います。
【①家・地元から脱出できる】
まず、新聞奨学生という制度が世の中に無かったとしたら・・・。
高校を卒業したばかりの人が、都会に出る手段は、かなり限られてくると思います。
部屋を借りるにも、生活をするにも、当面のお金や仕事が必要になります。
そういう面倒な手間やお金の心配が無く、体一つで都会に来れるのは、最大のメリットです。
特に、家庭環境が良くないと感じている方(※本当に良くないかは、外に出てみないと分からないですが)は、藁をもすがる制度です。
私が高校を卒業し、2週間後には東京に来れたのは、この新聞奨学生という制度のおかげです。
どうしても「脱出」しないといけない度合が強い人ほど、プラスの側面は大きくなるでしょう。
【②同僚の知識や考えを吸収できる】
東京・大阪など大都市の新聞奨学生ですと、日本全国から人が集まってきます。
そして、新聞奨学生になってでも都会に行こう、とするくらいですから、バイタリティのある人が多いです。
私の場合、ESPという音楽学校に行く人や、オーディオにこだわる方が居たこともあり、機械類に詳しくなりました。
地元では、そういった「○○マニア」みたいな方は、お見かけしませんでしたから。
今でも社労士という文系なのに、動画作成やワードプレスでHP作成、ワード・エクセルなどをサクサク使いこなしているのも、このときのおかげです。
頭のまだ柔らかいこの時期に、母親から子供に言葉を教えるかのごとく、一つ屋根の下で情報を吸収できたことで、機械類に対する抵抗が無くなりました。
さらに、北海道から九州までの方とお会いすることで、色々な方言や考え方、地元のこと(富山のチューリップ祭りなど)を学ぶこともできました。
細かいですけど、「てんぷらやキャベツに、ソースでなく醤油をかけて食べるんだ」とかも・・・・・
これらは、時々友達と会って話すのとは違い、一つ屋根の下でいるからこそ、吸収できることだと思います。
【③人間関係にビビらなくなる】
新聞奨学生をしていますと、対人関係に度胸がついてくると思います。
あと場合によっては、生涯の友人ができることがあります。
それは2つの点からです。
<●これ以上ない一つ屋根の下>
どんなに親しい間柄でも、やはり、一つ屋根の下で、同じ仕事をし、同じ釜の飯を食べる仲というのは、違ってきます。
こういう同じ時を過ごした仲間は、たとえ何年過ぎようとも、どこか心が繋がった友人となります。
<●集金作業で初対面とも会話>
私のときは、集金も仕事のうちでした。
色々なご家庭を訪問することになります。
新聞を取っているのでお金を払っていただくのは当然なのですが、新聞配達の集金人はどちらかというと「訪問販売員」みたいな低姿勢で訪問します。
相手の機嫌を損ねないよう、フレンドリーさも醸し出しつつ、上手な距離感で初対面の方からも、お金を回収していくことになります。
【①勉強する時間がやっぱり取れない】
これが最大のデメリットです。
新聞配達は、朝刊と夕刊がありますので
朝刊:3:30~7:00
夕刊:15:30~18:00
くらいの時間は見ておかないといけません。
すると、感覚的には、四六時中、新聞配達をしている感じとなります。
終わったと思ったら、すぐ次の配達が待っています。
仕事だけでなく、仲間とのコミュニケーションも必要です。
この「取れそうで取れない勉強時間」が最大のマイナス面です。
私の居たところでは、めでたく志望校に合格した人もいましたが、どちらかというと、ランクを落として合格したり、大学進学や専門学校通学をあきらめたりする方のほうが多いです。
とにかく勉強をしたい人にとっては、かなり厳しい現実が待ち受けています。
※なお、私たち社労士(合格率5%ほど)の多くは、社会人として勉強と仕事を両立させながら、合格しています。要はヤル気といってしまえばそれまでかもしれません。
【②青春の大事な時間を配達に捧げることになる】
世の中には、10代から芸能活動で輝く人もいますし、一般的な仕事であれば、出張や配置転換など、色々経験を積むことになり視野が広がっていきます。
また学生なら、学生同士のサークルや旅行など、将来大切な思い出も作れることでしょう。
そう、青春ドラマです(古いですが、オレンジデイズはいいドラマでした)。
私は、大学合格して新聞配達からは卒業しましたが、その後夜学でしたので、昼間は4年間ず~と仕事(バイト)で、新聞配達時と余暇はあまり変わりません。
大学で勉強することが最大の目標で、しかも第一志望の法学部でしたので、その点は十分満足しているところですが、振り返ってみると、青春らしい旅行など、ほとんど無かったなあと思っています。
先人たちからは、「きっと後からいいことあるよ」と言ってもらえましたが、青春ドラマみたいな仲間との旅行は、ぜひしておきたいところです。
新聞配達は、長期休暇は難しい上、仕事による視野もほとんど広がりをみせません。
【③悪い遊びを覚える】
奨学生以外の新聞の専売所の従業員は、ごく一般的な方々です。
パチンコやマージャンといったギャンブルや、煙草、ボーリング、カラオケなどをして、日常生活を営んでいます。
こういった遊びに、同僚の奨学生や専業(専売所専属の従業員)から誘われた場合、なかなか断りづらいことになります。
中には、パチンコにどっぷりはまって、1ヶ月の小遣いを使い果たした方も見てきました。
早く大人になるということは、こういう可能性もあるわけで、将来高い目標を掲げて頑張る人ほど、「ここに居ちゃだめだ」となります。
ここまで読んでいただきまして、ありがとうございました。
世間でよく言われている「奴隷・ブラック」なんてことは、ここでは書いておりません。
それは、私の青春時代は、確かにそこにあり、後悔はしていないからです。
上記「メリットとデメリット」とは、すべて私自身の身の周りで実際起こったことです。
そして現在は、そういった縁もあって、「働くこと」「社会保障」に携わる社労士という仕事を続けております。
このブログをご覧になって、誰かの何かの参考になりましたら幸いです。
最後に、私自身が高校卒業して、もう一度新聞配達をしたいか?と問われれば次のようにお答えしたいと思います。
でも、もう一度同じ境遇で、18歳に戻ったとしたら、また新聞奨学生をすると思います。今でも当時の私にとって最良の選択だったと思うから。
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