愛知県内の社会保険労務士が「社員をうつ病に罹患(りかん)させる方法」などと題した文章をブログで公開した問題で、厚生労働省は12日、この社労士を業務停止3カ月の懲戒処分にした。継続的に不適切な内容を発信したことでの処分は初めて。厚労省監督課は「法に逆行し、不当な権利侵害を助長する内容であり、看過できないと判断した」としている。
同課によると、この社労士は昨年4月から「モンスター社員の解雇方法」と題したコラムを43回にわたって掲載。このうち約10回分が権利侵害を助長する不適切な内容だった。
コラムは、逆らう社員をうつ病にして追放する方法とし、就業規則違反に厳しく罰を与え、適切合法なパワハラを行うなどと書いた他、社員の健康管理で行うストレスチェックを「うつ病のあぶり出し」と評したり、退職の際の有給休暇の申請を「何様のつもり」などと批判したりした。
この社労士については、愛知県社労士会が昨年12月に3年間の会員資格停止とし、退会を勧告している。
※2016/2/12 毎日新聞
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<日本の解雇(会社からの一方的な雇用契約の終了)の難しい課題>
正社員を解雇することは、終身雇用を前提とした時代に形作られた判例により、そう簡単にはできないです。
よって色々手順を踏んで、ようやく正当な解雇かな?と、もっていく必要があります。
「おまえなんて今日でクビだ!」
は、ネット社会の今どき、通用しなくなりました。
代わりに、陰湿な解雇を考えるようになったともいえます。
会社内のトラブルを減らすには、きちんと手順を踏んで解雇までできる方法を、就業規則や雇入通知書など、あらかじめ整備をしておくことが必要です。
ただ将来、「お金」で解決できる道も、現実的な方法としては必要かもしれません。
<解雇の金銭解決導入へ議論を > ※2015/4/9 日本経済新聞 解雇が裁判で不当と判断されたとき、労働者から申し立てがあれば、金銭補償で紛争を解決できるようにする。そうした制度づくりを政府の規制改革会議が提言した。解雇をめぐる紛争をすみやかに解決する狙いがある。不当解雇と認められても、会社との信頼関係が損なわれた後では労働者の職場復帰は容易でない。復帰できない場合、中小企業などでは労働者が補償金を受け取れなかったり、もらえても金額がわずかなことが多い。労働者が一定の金銭補償を受けられるようにし、泣き寝入りを防ぐ制度を設けることは実情に即しているといえる。労働者保護のためには併せて、別の職に移りやすい環境も整える必要がある。柔軟な労働市場づくりにも政府は力を入れるべきだ。企業の経営状態に人員削減の必要性がなかったり、人選が合理性を欠いたりするなどの解雇は不当とみなされ無効となる。規制改革会議の提言は、復職以外に金銭補償という選択肢を明確にし、補償金の基準を設けようというものだ。裁判官が企業に支払いを命じることができるようにする。 米国や英国、ドイツなどには解雇の金銭解決制度がある。世界の流れである金銭による救済制度を日本も考えるときだろう。 補償金は欧州では上限を年収の1~2年分などとしている。ただ日本では「勤続年数を考慮する必要がある」との指摘もある。制度設計は慎重を期すべきだ。 金銭解決制度をめぐっては、企業が労働者に金銭補償に応じるよう働きかけ、復職を妨げやすくなるとの批判がある。だが労働者本人の申し立てを条件とすることで、そうした懸念は抑えられよう。もちろん制度の乱用は防がなければならない。国の労働局などによる監視を強化すべきだ。 転職支援も新制度を導入するならより大事になる。国が一部の分野で設けている職業能力の評価制度を広げ、中途採用が活発になるようにしたい。職業訓練の充実など能力開発支援の強化も急務だ。 |