私が法学部の学生だった頃は、労働法なんていうのはマイナーなうえ、勉強したところで役に立たない(=実態と即していない)科目でした。
しかし、日本も少しずつ変わってきました。
特にネット社会になったことで、近年急速に労働法に関するコンプライアンスの重要性が増してきています。
例えば「サービス残業」の問題は、特に終身雇用制が崩壊した今日では、関心が高い話題です。
そもそも残業代を支払う理由は何でしょうか?
「法律で決まっているから」
その通りですが、もっと根本的な理由は「私生活の弁償」だからです。仕事の遅い人には、残業代は支払うものの、賞与や昇給などで差をつけるのが労働基準法の基本的考えです。
ただ経営者としては、利益を生んでいないのに、労働時間が増えるだけで残業代を支払うことには、抵抗を感じる方も多いことでしょう。
<定額残業代制度導入の注意点>
ところで給与制度に定額残業代を取入れることは、最近よく聞かれます。
しかしながら、雇用契約書やハローワークの求人票で「基本給の中に残業代も含む」だけでは、どの部分が残業代にあたるのか不明瞭です。
各種判例を見ると、そういった雇用契約は、軒並み会社側は敗訴しています。
また求人票については、固定残業代が何時間分であるか記載するよう、平成26年4月14日厚労省から通達が出されています。
労働者にとって、定額残業代があるということは、1日8時間、週40時間という、「労働基準」は無理な話ということです。だからこそ、定額残業代を設ける場合には、基本給のうち残業代にあたる部分が明確に区分されていることが必要です。