迷走する「ワタミ」の起死回生策?

迷走する「ワタミ」の起死回生策?

2014.12.26※2014/12/25 産経新聞
居酒屋チェーン大手のワタミの迷走が止まらない。20億円の最終黒字だった平成27年3月期決算の連結業績見通しを下方修正し、30億円の赤字に転落するとしたのだ。過酷な労働を従業員やアルバイトに強いる“ブラック企業”との批判を受け、人手不足解消に向け店舗数を削減したが、客足は減る一方で危機的な状況を迎えている。業績改善に向けた施策は二転三転し、打つ手が裏目に出る悪循環の出口は見えないままだ
居酒屋チェーン大手のワタミの迷走が止まらない。20億円の最終黒字だった平成27年3月期決算の連結業績見通しを下方修正し、30億円の赤字に転落するとしたのだ。過酷な労働を従業員やアルバイトに強いる“ブラック企業”との批判を受け、人手不足解消に向け店舗数を削減したが、客足は減る一方で危機的な状況を迎えている。業績改善に向けた施策は二転三転し、打つ手が裏目に出る悪循環の出口は見えないままだ。

<値上げから一転、デフレ経営に逆戻り>

 特に注目された居酒屋運営のワタミフードサービスは、年度前半に前任者が実施した「高付加価値・高単価」の路線を一転、かつてと同じ低価格戦略に先祖返りした
 年初から進めてきた高付加価値戦略は、単純な価格改定ではない。有名食品メーカーとのコラボレーションによる乳製品の活用や、国産にこだわった素材でのメニュー開発など、「こだわり」を前面に、消費税率8%への対応やデフレ脱却に向けた取り組みだった。実際に、年度前半では1メニューあたりの価格は、約20%上がったという。
 しかし、ワタミフードサービスの清水社長はこれを、「完全な失敗」と厳しく評価した。既存店ベースで見た客単価は前年同月比プラスだが、客数は大幅なマイナスとなり、結果的に売上高は減少しているからだ。清水社長は「消費者はチェーンストアに安さを求める」として、11月からメニューを値上げ前の価格帯に戻す緊急対策に乗り出すという。
 「和民」では380円のお通しを300円に、450円のサワー・ハイボールを390円に下げる。また、「わたみん家」では、450円の生ビールを399円とするほか、焼き鳥なども値下げする。特別なメニューの追加ではなく、定番のコロッケやアジフライなどを割安な価格で提供し、「おいしさと価格にこだわる」(清水社長)という。
 だが、値下げはしても「客単価は下げない」(清水社長)という。商品価格は下げるが、これまでより1~2皿多く注文してもらえば、客単価は維持できる、との戦略だ。結局、デフレ脱却に向けたワタミの戦略は、わずか半年でついえた形となった。
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<起死回生策は?>
「質を向上させる」「価格を安く抑える」という策で切り抜けようとしています。しないよりは、したほうが良いのでしょうが、それで業績が上向くのはなかなか難しいでしょう。

もしネット社会の今日、自分が幹事で「ワタミ」を選択した場合、誘われた方がどういう印象を持つでしょうか?
どんなに「質」「価格面」を向上したお店だったところで、表立って言われなくとも、幹事さんのイメージダウンにつながっているように思います。「おいしくて価格が安く」ても、感情的に選択肢から外されてしまっているから業績回復が遅れているのではないでしょうか。原因は、

①ブラック企業というイメージが付いてしまっている点
②そもそもダイエーのような営業形態が一つの時代を終えている点

だと思います。ただ、批評するのは簡単ですので、前向きなことを考えると・・・
①のために徐々に内部変化をしていくのではなく、第三者委員会を作り報告書を作成・公表してイメージのV字回復を図る
②のために徐々にダイエーのような「良いものをより安く」的な発想から、専門性を打ち出した店へ脱却していく

特に社労士的に①は、昔ながらの「昭和の労務管理」は、ピークを過ぎてそろそろ「ダサく」なってきていますよと言いたいです。ある程度時代の変化に対応するのも大事で、ダサいのはイメージ的に良くないです。。。

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