厚生労働省は18日、社会保障審議会の年金部会を開き、給付が手厚い厚生年金のパート労働者への適用拡大を議論した。労働者や学識者は対象を大幅に広げ、より多くのパート労働者を加入させるよう求めた。一方、厚生年金保険料の半分を払う経営側からは「負担を急に増やして、企業がつぶれてもいいのか」(経団連)と慎重な対応を求める声が相次いだ。
今の制度では週30時間以上働くパート労働者が厚生年金に入っている。2016年10月に週20時間以上のパートにも対象を広げることを決定ずみ。ただ501人以上の大企業に限るなど条件が厳しく、一段の拡大を求める声が強い。
この日の年金部会では労働者側から「すべての労働者を厚生年金に入れるべきだ」(連合)との声が出た。現在、パートの多くは月6万円余りしかもらえない国民年金に加入。厚生年金に移れれば老後の生活資金を確保しやすい。保険料を納める人が増えて、年金財政も改善する。
ただ経営者は、企業が保険料の半分を負担する厚生年金の拡大に後ろ向きだ。日本商工会議所からは「適用を広げれば企業収益を圧迫する。国による補助があってもいいのではないか」と激変緩和を求める声が出た。
厚労省は年末まで議論を続け、16年10月以降の対象拡大に向けた議論の道筋をつけたい考えだ。2014/9/19 日本経済新聞
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これ、国の懐を安心させることのみ念頭にあり、企業、国民にデメリットが大きい気が・・・。長年、年金制度をWatchしてきた者の独り言です。
<①保険料の負担大>
パート労働者が多い業界では死活問題!厚生年金と健康保険はセットで通常加入ですから、ものすごい負担増が待っています。
『えらいことになりそう・・・』
<②事務作業の負担大>
これ、見過ごされがちですが、想像以上に負担が大きいんです!!
学者さんや、人の出入りの少ない公務員さんでは、頭では想像できても、体で覚えていないので分かりません。
パート労働者の出入りの多さに対応して、別途従業員を雇ったり、手続きをしないといけません。
「雇う時に本人から資料を得て、健保・厚年の加入手続」「勤務中に給付手続」「退職時に喪失手続」「給与計算」「その他質問の電話」等々。。。
『えらいことになりそう・・・』
<③年金が増えるか疑問>
そして一番のウリのハズの「年金増」。
確かに国民年金と比べれば、年金額は増えるでしょう。しかし・・・
『年金制度の歴史』を振り返れば分かる通り、年金は給付が当面先なので、今は保険料を調達するばかり。
実際受け取る段階で、全体的な支給額を抑えたり、支給開始年齢を遅らせたりすれば、一貫の終わり。
これまでの『年金の歴史』を振り返れば、本当の意味で年金が増えるとは、なかなか思えない。
『えらいことになりそう・・・』
個人的には、支給開始年齢を遅らせるのは、もう覚悟しないといけないと思っています。
が、ムリムリ現役世代に厚生年金に加入しておいて、受け取るときに(たとえ国民年金との比較では多くなったとしても)、支給額を抑えられたのでは、いつまでも「100年安心年金制度」は、難しいように思います。