平成24年の民間企業給与:平均は408万円 非正規は168万円

平成24年の民間企業給与:平均は408万円 非正規は168万円

H24 kokuzei NHK(NHK NEWS WEB 9/27)サラリーマンなど民間企業で働く人の去年の平均年収は408万円で、前の年より1万円少なく、2年連続で減ったことが国税庁の調査で分かりました。 また、今回は非正規労働者の平均年収が初めて発表され、168万円と正社員より300万円少ないことが明らかになりました。

 

国税庁が去年1年間を通して民間企業で働いた会社員やパート従業員などの給料を調査したところ、平均年収は前の年より1万円少ない408万円でした。 平均年収が減るのは2年連続で、ピークだった平成9年の467万円に比べて59万円少なくなっています。 年収別では、200万円以下の人が前の年よりおよそ21万人増えて1090万人に上り、全体の4分の1近い23.9%を占めています。 一方、1000万円を超える人は172万人、全体の3.8%でした。 また今回は、雇用形態別の平均年収が初めて発表されました。 正社員の平均年収は男性が521万円、女性が350万円で、全体では468万円でした。 これに対して非正規雇用の労働者は、男性が226万円、女性が144万円、全体では168万円と、正社員に比べて300万円少ないことが明らかになりました。 このほか業種別では「電気・ガスなど」が718万円で最も高く、次いで「金融・保険」の610万円、「情報通信」が572万円となっています。 最も低かったのは非正規労働者の比率が高い「宿泊、飲食サービス」の235万円でした。

 

増える非正規労働者

国税庁が雇用形態別の平均年収を発表したのは、非正規労働者の割合が高くなったため、全体の平均だけでは給料の実態を必ずしも反映できなくなったからです。 総務省の調査によりますと、非正規労働者の数は、バブル経済の崩壊後、急速に増加しました。 ことしに入っても増えていて、4月から6月までの3か月の平均で1881万人と労働者全体の36.2%を占めています。 正社員に比べて低賃金で、年齢や勤続年数による賃金の上昇も少ない非正規労働者は、5人に1人が正社員になれないため、望まずに非正規雇用の仕事に就いているとみられています。 雇用の問題に詳しい慶応大学の樋口美雄教授は「1度、非正規になるとなかなか正規になれず、階層が固定化する問題がある。正規になりたいという『不本意非正規』が増加しているなかで、いかに正規に転換するかが重要だ」と指摘しています。

<追加データ(国全体の「給与総額」は棒グラフのとおり、右肩下がりです)>

H24 kokuzei3

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<今回出されたデータで、重要なことは次の2点です>

①長らく右肩下がりの給与で、特にリーマンショックで大きく下がった給与水準がまだ挽回していないこと。

②平均給与は408万円であるが、あくまで「平均」であって、「雇用形態」「男女」「年齢」「業種」によって、大きく違うこと。(「宿泊飲食の女性非正規」と「電気・ガスの男性正社員」とでは、同じ労働時間でも5倍くらいの所得格差があるということです)

 

「いかに正規に転換するかが重要だ」という文章で締めくくっていますが、もし正社員が単に「期間の定めの無い雇用契約」という以外、非正規とあまり変わらない労働条件なら、こんな考えは出てこないだろうと思います。「いかにスキルを身につけるか」とか「いかに付加価値の高い仕事や業種に就くか」という話にならず、正社員という雇用形態に重点を置いているのはなぜでしょうか?

それは正社員というのが、解雇はされない、ボーナスはもらえる、退職金は支給されるという「身分」状態だからです。身分制度という考え方になっているということは、おのずと数に限りがあります。

現在、正社員化をするめるために、①国は助成金を出したり(※雇用保険から用意されている正社員へ転換するための助成金で、「キャリアアップ助成金(正規雇用等転換コース)」なんてのがあります)、②労働契約法を改正したりしています。(※5年雇止めブログ参照

しかしながら、根本的に現在の解雇規制が緩まない限り、「経営者がリスクを負って正社員を増やせ」といっても、土台無理な話です。解雇規制が厳しい正社員を守るために、雇用の調整弁として非正規を増やしてきた側面があるんですから。。。

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