働いた時間ではなく成果で報酬を決める新たな労働時間制度について、厚生労働省の審議会は「高度プロフェッショナル労働制」と名付け、対象者の年収を1075万円以上などとする骨子案を示しました。 この案に対して労働組合は長時間労働対策が不十分だとして反発しています。
16日に開かれた厚生労働省の審議会で示された骨子案によりますと、原則として残業代が出なくなる新たな労働時間制度については「高度プロフェッショナル労働制」と名付け、対象となる人を年収が1075万円以上で、金融関係のアナリストやコンサルタントなど高い職業能力を持ち、職務の範囲が明確な人に限定するとし、詳細は法改正後に省令で定めるとしています。 そのうえで、長時間労働を防ぐためひと月の労働時間に上限を設けたり、仕事を終えてから次の出勤までの間に一定の休息時間を設けたりすることを条件としています。 この案について経済団体の代表は「経済再生に資する内容でこの案をベースに議論を進めたい」と賛成しました。
一方、労働組合の代表は「長時間労働を防ぐための実効性のある規制が盛り込まれておらず極めて遺憾だ」として強く反発しました。 また、骨子案には新たな労働時間制度とは別に、一般の労働者の長時間労働対策として月60時間を超える残業代の割増率を、中小企業でも今の25%以上から大企業と同じ50%以上に引き上げることも盛り込まれました。 ただ、導入の時期については、中小企業の負担が大きくなるため、今後議論するとして示されませんでした。 審議会は労働基準法の改正に向けて、今月中にも報告書を取りまとめたいとしていますが、労使の意見には隔たりがあり調整は難航が予想されます。
連合が反対集会
新たな労働時間制度についての骨子案が審議会で示されるのにあわせて、労働組合の「連合」が16日午後に厚生労働省の前で反対集会を開き、連合の発表でおよそ120人が参加しました。 この中で連合の古賀会長は「厚生労働省は1月中に議論をまとめたいという意向を表しているが、審議会での労働者側と経営者側の主張の隔たりは極めて大きく、拙速な議論は許してはならない」と述べました。 そして「過労死で亡くなる人は年間100人を超えている。まずは長時間労働の抑制について真っ先に議論するべきだ」と訴えました。 このあと参加者は一斉に厚生労働省の建物に向かって「労働時間規制の改悪は許さないぞ」「残業代ゼロよりも過労死ゼロを実現しろ」などと訴えました。 参加した組合員の男性は「制度ができると、残業が無制限になってしまうおそれがあると思います。引き続き反対を訴えていきたい」と話していました。
※2015/1/16 NHKニュース
————————————————————————-
①ホワイトカラーエグゼンプション
↓ ←残業代0法案と揶揄
②家族団らん法
↓
③高度プロフェッショナル労働制 (←今ココ)